じんじんの舞台剣淵町で、窪島先生の講演を聞くツアー 2013年9月1日〜2日
2013年9月1日〜2日
2013年9月1〜2日に初めて旅システムのツアーに参加しました。
それはまったく予定していないことでしたが、その1ヶ月程前、
十勝川温泉で開かれていた「第18回登校拒否・不登校問題全国のつどいin北海道」の
夜に手伝いにきてくれていた旅システムの青木さんとの会話がきっかけでした。
私 「うちの二人の子どもには本を好きになってほしい、と願って育てたの。
共働きをしていたので夫婦どちらかが毎晩、絵本の読み聞かせをしていたのね。
長男が小学校4年生くらいまで続いたかな。その時は毎日、
忙しくてゆっくり子育てする余裕などなかったけど、それだけは続けたの。
でもその後、二人とも不登校になり、私も仕事を辞めることになって、
家の中を片付けているとダンボール箱の中から絵本がたくさん出てきたの。
引っ越した時のままになっていたのね。長女と一緒に整理していると、
読み聞かせをしていた頃の情景などが想い起され、
自分自身がとても穏やかな気持ちになり、その時は子どものためにと思っていたけど、
絵本の読み聞かせは親にもいいことだったのね。
同時にそのことにかけた時間とエネルギーは、すごい量だと気づいてね。
子どもが不登校になって『子育てに失敗した』と自信を失くしていた私が、少し元気になったのよ。」
青木 「それなら剣淵町の絵本の館を知っていますか?
映画「じんじん」の舞台になったところへ、長野の無言館の館主の
窪島誠一郎さんと一緒に行くバスツアーがあるので行きませんか?」
映画「じんじん」は知人から普及券を預かっていたけれど、
札幌では見逃したので「全国のつどい」が終わったら隣町の江別市で
上映会があることがわかり、夫と観に行きました。いい映画でした。
「それなら行ってみよう」と渋る夫を説得してツアーに申し込みました。
それは「第18回全国のつどい」にむけて努力した自分自身へのご褒美でもありました。
私は「無言館」には二度行きましたが、窪島誠一郎さんが絵本を書いたことは知らず、
剣淵町の絵本の館にも行ったことはありません。
今回、窪島さんの2冊目の絵本「いのち」の原画展に合わせての講演会が、
絵本の館で開催されるのでこのツアーが企画されたようです。
「いのち」という絵本は、実際にあった出来事をモチーフにされているというお話で、
不登校の子どものことが書かれていました。
原画展を見ながら「ああ、途中まではうちの子と一緒だ」という思いと、
今年は「いのちについて考える年になるなあ」という気がしました。
わが子が突然学校に行かなくなると、親は「学校で何かあったのか?」
「自分の子育てが間違っていたのか?」など、悩む日々が続きます。
札幌でも新婦人道本部の援助もあり「親の会」を作り、毎月例会を開き、
語り合うなかで親は落ち着きを取り戻し、子どもの姿も見えて、
寄り添うことができるようになってきました。
私も家庭が子どもたちとって「安全・安心」な場所でありたい、
と願って「親の会」を続けてきました。
子どもたちは自分の心と体に相談しながら、時間をかけて動き出す準備をしています。
今の社会のペースに合わせるのではなく、自分のペースで生きていける場所を探しています。
それに親もつきあいながら、親は親自身の人生を歩んでいくのだ、ということに気づかせてもらいました。
しかし残念ながら、自らのいのちをなくす子どもたちも、現実にはいます。
失ったいのちは、二度と戻ってはきませんし、残された家族に何と声をかけていいのか、
言葉がみつかりません。今年の「全国のつどい」では「大切な家族をなくした経験を一緒に語りあいましょう」
という自主交流会が、初めてもたれました。このことについて時間をかけて、真剣に、そして本音で話し合いました。
そういう年でしたから、このツアーに参加するまで窪島さんの絵本のことを知らずにいたのに、
何か因縁めいたものを感じました。さらに私は「屯田兵の子孫」であることは父親から聞いていましたが、
剣淵町が入植地であることが最近わかり、ここにも因縁を感じています。
今までつながっていなかった人たちと、地下茎でつながっている。
このことは、「不登校の子どもをもつ親の会」を続け、「全国のつどい」を
全国各地で開催していくなかでわかったことでした。
表面に出ていることからは、見えないし、わからないけれど、
確実に何かが変わっていく予感がしています。
このツアーに参加してよかったです。
あまり多くの人数でなかったこともあり(旅システムには失礼ですが)、
窪島先生にお会いできたことや絵本の館に関わる剣淵町の地元の方たちとの交流など、
個人の旅行では得られないものがいっぱいお土産になりました。
たまにはツアーもいいですね。機会があれば「また行きたい」と思う旅行でした。
お世話になったみなさん、ありがとうございました。
札幌市 門前真理子