平和と教育を考えるツアー連絡会  
これまでの企画


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平和の旅レポート
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『沖縄平和を考えるツアー2019』に参加して  2019年1月8日〜12日

 

 2019年1月8日(火)私たち平和ツアーの一行は沖縄へ飛びたった。−10℃から+20℃の地へ。北海道人にとっては沖縄は楽園だが沖縄住民にとっては決してそんな場所ではなかった。フェンスを挟んで軍事基地が住宅密集地に隣接し、ものすごい超低空飛行で軍機が飛び交い、米軍による事故や犯罪が頻繁に起きている大変な場所だ。私たちが見学している間も米軍のヘリやオスプレイが頻繁に飛行していた。

1月8日(火)@不屈館
 アメリカが最も恐れた男、瀬長亀治郎。 沖縄の祖国復帰と平和な社会の実現のために闘った人物。私が印象に残ったのはアメリカ政府による 那覇市への補助金と融資の打ち切り、預金凍結の財政危機に対して瀬長市政を支えるために市民が「自主的」に納税し、最高で納税率97%に達し、 市政運営ができるようになった、という話だ。修学旅行などで多くの若者に訪れてもらいたい場所だ。

A那覇市議大城朝助氏の報告
 テレビでは大々的に土砂の投入が報じられているが、辺野古の埋め立てはわずか4%にすぎない。強引な既成事実造りで移設反対をあきらめさせようとしている。海底下40mのマヨネーズ地盤を埋め立てるのは土木工事としてはあり得ない。また辺野古移設は「基地負担の軽減」などではなく基地の増強だ、ということがよくわかった。

1月9日(水)B緑が丘保育園
 米軍普天間飛行場からわずか300mに位置する普天間バプテスト教会付属緑が丘保育園。そこの園長神谷武宏氏が報告。2017年12月7日10時20分、幼児が活動している保育園の園舎の屋根に米軍ヘリの部品が落下した。県が設置したカメラには同時刻に園上空を飛行するCH53Eの写真が記録されている。明確な証拠があるにもかかわらず米軍は認めず。日本政府も一切抗議せず。それどころか「自作自演だ」などという誹謗中傷の電話が「日本人」(ネトウヨか)から頻繁にかかってくる。そんな状況でも園長や保護者たちは立ち上がり保育園上空の米軍機の飛行禁止を求める署名を開始し全国からの応援があり10万筆を超えた。

C読谷村役場
 日本で唯一憲法9条を村政の柱にしている自治体。役場には「オスプレイ反対」の看板がでっかく掲げられていた。

1月10日(木)D辺野古テント村
 代表の方からの報告。辺野古は決して普天間の代わりではなく、新たな巨大軍港を(日本の税金で)つくろうとしている。無理、無駄、無茶な「基地建設はもう止めます」と言わせるのが今の闘いである、と静かに丁寧に具体的に説明してくれた。
 その後グラスボートで大浦湾を見学。船長さんがガイドしてくれた。これだけの珊瑚礁ができるのに3000年はかかっており埋め立てにより大浦湾の水流が変わると絶滅の恐れがある、とのこと。所々に監視船あり。民間人を雇い日当5万円で1日中浮いているだけらしい。国民の税金を使って非暴力の市民の何を「監視」しているのだろう?

Eやんばる東村高江テント激励訪問
 「ヘリパッドいらない住民の会」の方からの報告。2007年からヘリパッド建設工事が始まったが政府から一度も住民への説明はない。あまりの騒音(爆音)で家族は追い詰められ隣の村に一時避難をしている。昨夜も夜の11時まで訓練していた。住宅の上を飛ばないように何度も要望しているがまったく無視されている。貴重な水源地である福地ダムの水も米軍によって汚染されている。平和な生活を求めている住民運動を監視するために1日に1800万円の税金が使われている。脆弱なやんばるの生態系に深刻なダメージを与えているヘリパッド。住民生活と自然を破壊する「安全保障」とはいったい何なのか。

1月11日(金)Fキャンプシュワブゲート前座りこみ
 当日は雨であったが一行はやる気満々。でもトラックが来ないのでテントでの交流会となった。最初に瀬長亀治郎のお孫さんから闘いの説明があった。概要は次の通り。一番問題なのは憲法で保障されている生存権が脅かされていること。アメリカでは住宅の上空を軍用機が飛ぶことはないが沖縄ではそれが日常になっている。現在は保守系の人も基地がない方が経済発展すると言っている。辺野古の闘いは21年になるが今や全国の人が来て闘う場になっている。韓国にも米軍基地があり、世界の人と手を取り合って頑張っていきたい。
 その後韓国代表、名護市議、赤嶺政賢衆議院議員などからの報告や決意表明があった。また元警察官で警察不正の内部告発者の仙波敏郎氏は「辺野古の機動隊は狂っている。非暴力の民間人に骨折するほどの暴力を振るっている」と訴えていた。
 この交流会で多様な立場にいる多くの人たちが辺野古の運動を支援していることを実感した。韓国の若者たちは歌も披露してくれて国際交流の場ともなった。

1月12日(土)G県会議員比嘉みずき氏の報告 (概要)
 辺野古の工事は止められるという確信がある。まず一つはサンゴの問題。安倍首相はNHK日曜討論で「あそこの珊瑚は移植した」という明白なウソをついたが一つも区域内のサンゴは移植していない。区域外の珊瑚を9株だけ移植したが約7万4000株ものサンゴがあり、その一つ一つに知事の認可がいる。それは現実的には不可能である。二つ目は軟弱地盤の問題。埋め立て予定地の水深は30mでさらにその下には40mの軟弱地盤(マヨネーズよりも軟らかい)がありここに基地を建設するのは物理的に不可能。埋め立ての計画は変更しなければならないが、それには知事の認可が必要である。護岸工事だけでも当初予算の2400万円の10倍の2億円以上かかっている。政府の資料に基づいて試算しても2兆5000億円かかる。しかも工期は最低でも13年かかる。以上の点について政府は答えきれない状況になっている。
 2018年7月27日翁長前沖縄県知事が埋め立て承認の撤回の決意を1時間にわたり記者会見した。その中で翁長前知事は「今の日本の米に対しての従属は、日本国憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」と語った。
 県民投票については、住民投票を求める署名では印鑑も必要であるにもかかわらず行列ができるほどになり、承認撤回に反対している人も署名した。
 報告終了後、ツアー一行からも思いや質問が出され、比嘉議員は一つ一つに丁寧に答えてくれた。

 今回の沖縄ツアーで私たちが知り得た沖縄住民の基地被害や生態系の大規模な破壊の実態などは、残念ながらまともに報道されることはない。テレビはほとんどバラエティー、グルメ、スポーツでメディアは「報道」の の精神を忘れている。私は今一番日本国憲法の力を必要としその精神を生かして行動しているのは沖縄であること、辺野古の基地建設は沖縄の負担軽減ではなく米軍基地のさらなる増強であること、今の沖縄の問題は日本全国の問題であることを訴えます。最後にこのような企画をしてくれた旅システムに感謝し今後とも継続していただくことをお願いいたします。


  

岸田 久